私が1人で相席会に行ったとき、4人で遊んだテラノヴァが思いのほか楽しかったので、えりさんとも遊んでみたくて購入。
2人で遊んだ感想をメインに紹介していきます!
どんなゲーム?
概要
人気ボードゲームのひとつである「テラミスティカ」の世界観やゲーム性を土台にして作られたスピンオフとなる作品。
基本的にはメインボード上のヘックスに自分の建物を建設し、勢力を広げていくことが目標です。徐々に増えていく収入を基に、ラウンドごとに決まった得点条件を満たしたり、種族によって異なる能力を活用して、勝利点を積み重ねていきます。
効率的に勢力を拡大しながらしっかり得点を集められたプレイヤーが勝利、というプレイ中の運要素なしの戦いが醍醐味のゲームです。
「テラミスティカ」の根幹のシステムは踏襲しつつ、複雑な要素をばっさり削ぎ落としたことで、プレイヤーごとの特殊能力や陣取りの部分が際立ったゲームになっています。
人数 | 2〜4人 |
時間 | 60〜90分 |
年齢 | 12歳以上 |
デザイナー | Andreas Faul |
出版年 | 2022年 |
国 | ドイツ |
プレイヤーごとの特殊能力
各プレイヤーは5つある勢力のうちの1つの種族となって戦います。それぞれ異なる能力が割り当てられており、建物を改良することで得られる能力も異なっています。
種族によっては特定の動きが点数につながることもあり、うまく乗りこなせるかどうかが勝敗につながります。
自分の担当する勢力の能力を活かすにはどう動けばいいか、大まかな方針を決めてプレイすることになるのですが、それが狙い通りにいったときの楽しさはボードゲーマーならわかるはず!

フェアリーは、パワーを毎ラウンド得て、パワーをスコップに変換できるようになる癖のないキャラクター。
建物を建設して陣取り
自分が得意な地形に変換しつつ、メインボード上に建物を建設し、勢力を広げていきます。
ひとつのヘクスの中にはひとつの建物しか置くことはできないので、相手に先に取られてしまわないように相手の動きをよく見ること、効率的に自分の陣地を広げていけるように計画を立てることを考えることが「テラノヴァ」の楽しいところ。
また、建物を建設していくことで毎ラウンドの収入が増えていくので、建設や改良できる回数も増えていきます。うまくつなげて大きなグループにできれば、そのグループは町となって追加のボーナスが得られるので、それも計画に組み込む必要があります。
他のプレイヤーと1枚のボード上でバチバチと戦えるのはボードゲームならではですね。

パワーのやりくり
陣取りなので基本的には相手と干渉したくないんです。競り合ってしまうと大変ですし。
でもある程度は近づかないといけない理由の1つを作っているのがこのパワーというシステム。自分の建物の周りで他のプレイヤーが建物を建設したり改良したりするとパワーが獲得できるようになっており、そのパワーを使うことで強力なパワーアクションが使えるようになります。
このパワーアクションが使えるか使えないかでできることの幅が全然違うので、とても重要なポイント。
自分だけで発展していこうとするとパワーが動かないのである程度は隣接する、でも身動きが取れないようにならない程度には離れるといったバランス感の見極めも醍醐味のひとつ。

Ⅲにあるものだけが使えるパワーで、計画的に使わないとあふれたり足りなかったり。
ラウンドごとの目標
ゲーム開始時に、ラウンドごとに得点となる行動が決まります。
その行動に合わせていくことで得られる得点はとても重要ですが、必ずしも自分のやりたい行動と噛み合うとは限りません。宮殿を早めに建設したいけど、建設したときに得点が得られるのは2ラウンド先…なんてこともしばしば。これがなかなか悩ましい。
2人プレイ用の選択ルール
「テラノヴァ」には2人で遊ぶときのために、裏面の2人用マップを活用した選択ルールが2種類用意されています。
2人で遊ぶ場合に絶対に導入しないといけないルールではないので好みに合わせて使うと良さそう。
・計画者選択ルール
ゲーム準備時と中盤に中立コマを追加するルール。これにより交易所の値引きを受けられるようにするチャンスを増やすことができ、遊びやすくなります。
ただ、中立コマからはパワーを得られないことには注意が必要です。
・幸運な金鉱掘り選択ルール
各ラウンドの最初にランダムで選んだ中立コマを最大で2個置いていくルール。
「テラミスティカ」シリーズにはないゲーム中のランダム要素を加えることで、実力勝負になりすぎないよう調整することができます。
本家テラミスティカとの違い
テラノヴァですが、「テラミスティカでいうあの部分がなくなってます」という説明をしていくだけでもほぼインスト完了となります。それくらいテラミスティカ。
もし一緒にプレイする方が「テラミスティカ」のルールを熟知しているのであれば、以下の点がなくなっていることを伝えるだけでゲームを始められると思います。
勢力が持つ能力の違いなどは本家を知っているのであればサマリーやアイコンを見るだけでわかると思うので省略していますが、必要に応じてルールブックを確認してください。
ラウンド数と勢力数の変更
6ラウンドあったのが5ラウンドになりプレイ時間が短縮され、7色あった勢力は5色に。
勢力が減ったことで、2人プレイであってもスコップ1つ以下で変換できる地形が重なるようになっており、必ず取り合いになるようになっています。
建物の種類は3つだけ
砦、神殿、聖域の3種類が計5個あったところ、まとめて宮殿2個になりました。
それにより恩恵タイルもばっさりカット。聖域と同等の効果(町の設立の簡略化)を得られるかどうかも勢力次第です。
教団トラックがない
メインボードでは陣取りをしつつ、教団トラックで順位やラウンドごとの教団ボーナスも気にしつつ…とどっちを優先して動くか悩ましかった本家ですが、教団トラックがなくなっていることで、考えることは陣取りに集中できるようになりました。
そのため、ラウンド得点計算タイルには教団ボーナスはありません。
資源はコインに統一
労働者、コイン、司祭の3つあった資源は全てコインに統一されました。それによって資源の管理はとてもシンプルに。

パワーの獲得量計算の簡略化
自分の建物に隣接する他プレイヤーが建設や改良を行うとパワーを獲得できるルールは継続ですが、計算方法は「新たに建設/改良された建物に隣接する自分の建物の数×1パワー」。建物の種類による違いや点数の支払いがなくなるのでとてもわかりやすくなりました。
パワーの廃棄は不可
トレイⅡにあるパワーを1つ廃棄することで能動的にトレイⅢに移すことができていましたが、今作ではできなくなりました。
町タイルは固定
町タイルは各プレイヤーで4種類1枚ずつで固定。同じものを2回取ったり、欲しかったタイルが相手に取られたりということはなくなっています。

夫婦2人で遊んでみた感想
いぺの場合

要素はびっくりするくらい削られて心配になったけど、それでもちゃんとテラミスティカを感じるゲームでした。
テラミスティカは好きなゲームのひとつですが、未プレイの人にインストする難易度が高いので気軽に出せないなぁと感じていたので、布教用にぴったりだと思います。
重ゲーのインストするの大変だから段階踏めるの嬉しい。笑
どこが良かったかなーと思い返したとき、私が特に良かったと感じたのは以下の3つ。
テラミスティカの楽しさを手軽に楽しめる
「テラミスティカ」といえばキャラクターごとの特殊能力。本家よりは少なくなってはいますが、それでも5色×2種類の10キャラ用意されているのでプレイのたびに異なる作戦を練る楽しさは健在です。
そしてなんと言ってもボード上の陣取りも楽しいポイント。
相手に陣地を取られる前に住居を建設する?
能力解放のために宮殿の建設を優先する?
それともラウンドの目標に合わせた行動をする?
…など先々の展開を読みながら、どの順番でアクションするか考えて戦う面白さは「テラミスティカ」にも引けを取りませんでした。
それでいながらルール量もラウンド数も減っていることで1プレイあたりにかかる時間が中量級と呼べるくらいに短くなり、出しやすいゲームになっています。
初心者や苦手意識がある人でも楽しめるような工夫
陣取り特化の「テラミスティカ」でもあり、「テラミスティカ」入門編でもある今作。
前述したようにルールがシンプルになっていることもそうですが、サマリーに戦略の指針が記載されているところにもこのシリーズの楽しさをわかりやすくしようという思いが伝わります。

2人用選択ルール
我が家では夫婦2人プレイになることが多いので、こういった調整はとても嬉しい。
えりさんが実力差が強く出るゲームを2人で遊ぶことに苦手意識があることもあってか、ランダム性を増やす「幸運な金鉱掘り選択ルール」を入れるとより楽しく遊べました。
「中立コマを全て相手に置いてもらう」「置く中立コマを相手の1個だけにする」というような微調整で相手に軽いハンデをつけることもできますし、導入しやすいルールだと思います。
オートマ入れるタイプは面倒になってやらなくなるので、このくらいがちょうどいいです(笑)

中立コマが乱立するので少しだけ多人数戦っぽくなります。
ただ…

上記は正直な感想ですが、時間と相手の同意があるなら「テラノヴァ」じゃなくて「テラミスティカ」とか「革新の時代」をやりたいという気持ちもあります…
テラノヴァは中量級として素晴らしいと思うのですが、本家「テラミスティカ」に置き換わるほどではないかなぁと思います。
ただ、初心者に「テラミスティカ」を知ってほしいという気持ちと、いきなり経験者と戦って大差をつけられて苦手意識を持ってほしくないという気持ちのせめぎ合いを「テラノヴァ」で解決できそうなのは喜ばしいですね。
遊びやすさは格段に上なので、今作のほうが好き、という人がいるのも頷けます。
町値って
「町値」って「まちち」で読んでたけど、音の響きが不思議でふふっとなってしまう。(訳者の方が意図した呼び方なのかはわからないですが)
まあ英語のルールブックを見ると「town value」となっていたので納得。
個人的に和訳しててもゲームオリジナルの用語をどう訳すかはめちゃくちゃ悩むので、きっとどうしようか悩んだだろうな…
えりの場合

イラストがとっつきやすくなっていたり、ルールがシンプルになっていたりしていて遊びやすくなったのはいいと思うし楽しかった。
でもテラミスティカと比べると、さっぱりしすぎてしまってさみしい…
コインしかないしパワーの廃棄もできないからできることがわかりやすくなりすぎてしまって、選択肢を探す楽しさがなくなっているように感じちゃったかも。
うーん。わかる。だからこのゲームはダメ、ってことではないのは前提として。
シンプルになったルールは、裏を返せば各プレイヤーごとに取れる戦略が似てきてしまうということでもあります。
建物の種類や総数も少ないので建物をつなげる数に差がつきづらく、ラウンド目標や勢力ごとの能力、ボーナスタイルから得られる毎ラウンドの得点の積み重ねの重要性がさらに上がっているように感じます。(ちなみに2人で2戦しましたが、建物の接続数は一個差、同点でした)
勢力の能力を活かしつつ、相手の様子も伺いつつ、数ある選択肢の中から計画に合わせて行動していく戦略の多様性に「テラミスティカ」の魅力を感じている人や、ひとつのゲームをやり込みたい人にとっては物足りなさを感じるかもしれません。
補足:初プレイ時の注意点
初めてのテラミスティカシリーズとして「テラノヴァ」を遊ぶ場合、以下の点を意識した方が楽しくプレイできると思います。
ルールブックの「最初のゲーム」を守る
初心者を交えてプレイするときは「最初のゲーム」の通りにプレイすることをお勧めします。
わからないうちは準備時のコマ2個を置く位置を決めるのがとにかく難しい。ボードゲームに慣れている人であればいきなり通常ルールでもいいと思いますが、下記ヒントは意識してもらってください。
ヒント:少なくとも1個の家駒を他の勢力の家駒に隣接させると役に立ちます。
テラノヴァルールブック p.2
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